日本の伝統的な贈り物文化のひとつに、「お中元」と「お歳暮」があります。
これらは、日頃お世話になっている方々に感謝の気持ちを伝えるための習慣ですが、近年では贈る機会が減少しつつあります。
しかし、ビジネスの場や親族間では今でも大切にされている文化です。
本記事では、「お中元」と「お歳暮」の基本的な意味や違い、マナーについて詳しく解説します。
1. 「お中元」と「お歳暮」の基本的な意味と違い
お中元とは?
「お中元」は、主に7月初旬から中旬にかけて贈る夏の贈り物のことを指します。もともとは中国の道教の行事が起源とされ、日本では江戸時代頃から現在の形に定着しました。
現代では、上司や取引先、親族、恩師などに対して「日頃の感謝の気持ち」を込めて贈る習慣となっています。
お歳暮とは?
「お歳暮」は、12月に贈る冬の贈り物です。もともとは年末に先祖の霊を供養するための供物を親戚や近隣の人々と分け合う風習から始まりました。現在では、年末の挨拶とともに、一年の感謝の気持ちを伝えるものとして広く行われています。
違いは?
お中元は「半年間お世話になった感謝の気持ち」、お歳暮は「一年間の感謝の気持ち」といった意味合いの違いがあります。お歳暮の方がより重要視される傾向があり、企業間ではお歳暮のみを贈る場合もあります。
2. 贈る時期と地域による違い
お中元とお歳暮は、贈る時期にも違いがあります。それぞれ東日本と西日本など地域によって時期がずれるため、贈る際は相手の住む地域にも注意する必要があります。
お中元は一般的に、関東では7月初旬~7月15日まで、関西では7月中旬~8月15日までに贈ります。ただし北陸、九州、沖縄はお中元の時期が特殊なため、贈る際は注意しましょう。
お歳暮は、お正月事始めの日である12月13日から12月20日までに贈るのが一般的ですが、お中元と同じく地域差があるため注意が必要です。近年はお歳暮を贈る時期が早まってきており、11月末に贈る方もいらっしゃいます。
ただし、お正月用品として魚のような生鮮食品を贈る場合は、できるだけお正月に近い日に届くようにした方がよいでしょう。
お中元とお歳暮の詳しい時期は、以下の表をご覧ください。
お中元 | お歳暮 | |
北海道 | 7月15日〜8月15日まで | 12月13日〜12月20日 |
東北・関東 | 7月初旬〜7月15日まで |
東北は12月13日〜25日頃 関東は12月初旬〜12月31日 |
北陸 |
北海道と同じ地区、 関東と同じ地区に分かれる |
12月13日〜12月20日 |
東海・関西中国・四国 |
7月中旬〜8月15日まで |
東海・中国・四国は12月13日〜25日頃 関西は12月13日〜12月31日 |
九州 | 8月1日〜8月15日 | 12月13日〜12月20日 |
沖縄 |
旧暦の7月15日前後 (8月中旬~9月初旬頃) |
12月13日〜12月20日 |
地域によって若干の違いがあるため、贈る際には相手の住んでいる地域の習慣を確認するとよいでしょう。
3. 贈る相手と品物の選び方
誰に贈るべき?
一般的に、お世話になった人や、日頃の感謝を伝えたい人に贈ります。
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会社の上司
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取引先やビジネスパートナー
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親族(両親、義理の両親など)
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先生や恩師
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医師や弁護士など、特にお世話になった専門家
ただし、近年では職場の慣習によっては「個人的な贈答を控える」方針の会社も増えているため、確認が必要です。
4. 贈る際のマナーと注意点
1. のしの使い方
贈り物には「のし」をつけるのが一般的です。
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お中元:「御中元」と表書きする。
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お歳暮:「御歳暮」と表書きする。
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お返しの場合:「御礼」「粗品」などと記載する。
水引は紅白の蝶結びを使用します。
2. 手渡しと配送のマナー
お中元やお歳暮は、できるだけ手渡しで渡すのが望ましいですが、遠方の場合は配送でも問題ありません。
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手渡しの場合:「日頃の感謝を込めてお持ちしました。」など一言添える。
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配送の場合:贈る前に相手に一言伝えると丁寧な印象に。
3. 受け取ったらお礼状を
贈られた側は、できるだけ早めにお礼を伝えましょう。
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電話やメールでも可
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フォーマルな場合はお礼状を書く(「このたびは結構なお品をいただき、誠にありがとうございました。」など)
また、お返しが必要な場合は、同等かやや控えめな品物を選ぶのが一般的です。
まとめ
「お中元」と「お歳暮」は、日本の大切な贈り物文化の一つです。時代とともに形を変えながらも、「感謝の気持ちを伝える」という本質は変わりません。
特にビジネスシーンでは、正しいマナーを理解し、適切に活用することで、円滑な関係を築くことができます。最近ではオンラインサービスの充実により、手軽に贈れるようになりました。この記事を参考に、適切なお中元・お歳暮の贈り方を実践してみてください。